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NEWSLETTER of The Japanese Society for Applied Animal Behaviour, No.42, OCT 2015

「オドルンダヨ。オンガクノツヅクカギリ。」
(ダンス・スンダ・ダンス)  

森田 茂(副会長・酪農学園大学)

 「よくいるかホテルの夢を見る。夢の中で僕はそこに含まれている。・・・
いるかホテルは現実に存在するホテルだ。札幌の街のあまりぱっとしない一角にある。・・・」(村上春樹さん、毎年ノーベル賞お疲れ様?!)


 ISAE2015の懇親会は、「すみれホテル」という名の、現実に存在する、札幌の街のぱっとしない一角にある、老舗ホテルで開催されました。すみれホテルの夢は見ませんが、10月下旬に同窓会で利用します。すみれホテルと繋がり、そこに含まれることになりました。


 昨年の今頃、ニュースレター38号に「存在と時間 異聞風」を投稿しました。それまでの「歌舞音曲禁止路線」を転換し、マリーさんに指導してもらう理由が書いてあります。「ひとりきりではダンスは上手く踊れない」人(私自身)が踊るために、マリーさんに懇親会ダンス指導を依頼したのは、一年前(2014年)の秋でした。中辻さんの名プロデュースのもと、青山さんの名司会と、所属を越えた若手の名アトラクションで、とても楽しい時を過ごしました。身体をくねくねさせて踊ってしまいました。みんなで踊ると楽しいことが判りました。大成功でした。


 「ダンス・ダンス・ダンス」上巻中ごろの「僕と羊男」の会話にはこんな部分があります。
「それで僕はいったいどうすればいいんだろう?」
「踊るんだよ」羊男は言った。
「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言っていることはわかるかい?踊るんだ。踊り続けるんだ何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。そんなこと考えだしたら足が停まる。・・・・どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。きちんとステップを踏んで踊り続けるんだよ。・・・」


 現実に踊り続けることはないでしょうし、今後、学会で踊ることも無いでしょうが、来年のISAE2016には参加しようと思います。国際学会、楽しいですよね。
きちんとステップを踏んだ研究計画のもと得た成果は、学会で発表して、成果として論文に公表しましょう。そういう踊りを、続けましょう。マリーさんのダンス指導は、学会で、他の人たちから受けることができます。「夏の学校」やその他のシンポジウムへの参加で、熱心な議論と学習が期待されます。みんなで活動するのは、とても楽しいですよね。


「それで僕はいったいどうすればいいんだろう?」
「学ぶんだよ」
「生きている間はとにかく勉強を続けるんだ。おいらの言っていることわかるかい?」
「とくに馬鹿は、他人の10倍勉強しろ!」(最後の一行は、故朝日田教授の言葉)


 懇親会に限らず、ISAE2015は企画から実行まで本当に楽しい時間をすごしました。参加された方々への「お・も・て・な・し」も十分できたと思います。ISAE前会長からは、FB上でお褒めの言葉をいただきました。素敵な学会ロゴや、斬新な表紙を採用した要旨集は、ISAEのみならず国際学会Proceeding史に残る傑作です。本当に多くの方と楽しく活動できました。ありがとうございました。学会の学術的内容も充実していましたが、それは学会報や「畜産技術」に掲載します。


 「Shushi and Beyond」(和題:英国一家、日本を食べる)という番組が、NHKで放送されています。日本の食べ物やそれに関わる文化の紹介番組です。題名は、「日本には寿司だけでなく、それ以外の食品もあるぞ、知ってみようね」という意味です。いろいろな日本食品についてのコメントが楽しめる番組です。ですから「KokusaiGakkai and Beyond」は、すでに多くの研究者と知り合いになったり、一緒に踊った皆さんが、国際学会に参加するだけでなく、そこで発表し討論し、ブラッシュアップした成果を、論文に投稿する。また、各地での「おもてなし」を受けて文化を堪能するという意味になります。参加費は高いけど(ほんと、何であんなに高いんだ!)、参加する価値は十分あります。来年は、オランダ(PDF2016)、エジンバラ(ISAE2016)、福岡(AAAP2016)とたくさん予定されています。ひとりきりでは踊れない皆さんも、みんなで一緒に踊りましょう。


さて、ダンスも済んだし、ISAE2016のために「ハリー・ポッター」でも読み出すか。長そうだなあ。





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ISAE2015(第49回日本大会)が無事終わりました!
 

大会長 近藤誠司(北海道大学大学院農学研究院)



本年9月14日(月)から9月17日(木)に北海道大学学術交流会会館で開催された第49回ISAE2015日本大会が何とか無事終わりほっとしております。と同時に、盛会であったことや会場で耳にする海外からの参加者の評判がよかったことで、嬉しくまた誇らしくも感じています。これは皆、実行委員長の森田先生始め、たくさんの皆さんが陰日向なく頑張ってくれた賜物と感謝しております。まず役員始め裏方の皆様に心からのお礼を申し上げなくてはなりません。


 昨年のISAEスペイン大会の理事会では、私は森田先生と共に、二宮先生の代理として出席してこの学会の予告を致しております。その記録をひもときながら、今回の学会を顧みて見たいと思います。


 大会のメインテーマ、“Ethology for Sustainable Society”について現ISAE会長であるDr. Jeremy Marchant-Fordeがユーモアもまじえて大変興味深い挨拶をスライドとともにスピーチされ、私どもの意向は十分把握されていると感じました。続くWood-Gush Memorial Lectureでの佐藤衆介博士の基調講演は氏の研究史とともに我が国の家畜行動学の歴史を簡明に総説した上で、テーマであるNormal Behaviorを語り、続くDr. Michael Applebyの講演と共に聞き応えのある内容でした。


 さて、昨年のスペイン大会理事会では、ISAE2015の前に札幌で8月に開催されるWild Animal Managementの国際学会と江別市の酪農学園大学で開催される日本畜産学会大会を紹介しております。前者とはISAE JAPAN主催の動物園動物に関するシンポジウムを行うと同時にWild Animal Managementの研究者を中心にワークショップを持ちたい旨のお話をし、「こうした他学会との連携は大変好ましい」というコメントを頂いておりました。しかし動物園動物の行動と問題に関するワークショップ(上野吉一会員マネージ)が行われたほか、野生動物関係ではこちらの力及ばず、Wildlife Managementの研究者とのワークショップは実現しませんでした。日本畜産学会大会は北海道畜産草地学会との共催でシンポジウムがISAE開催前日に酪農学園大学で行われました。日本人の会員はこのシンポジウムにほぼ参加しておりましたが、海外ISAE会員については、残念ながらその参加はなかったと言わざるを得ません。


 森田先生がスペインでの理事会や総会で紹介した本学会の低廉な学会参加費については当時から大変評判がよく、また今回の学会の総会でも「来年のエディンバラ学会の参加費もJapanと同じように安くできるのか?」という質問が出たほどです(残念ながら来年は通常価格に戻るようです)。


 恒例のバンケット・ディナーでは森田実行委員長は「ISAE 2015 Japanでは歌舞音曲の禁止!」を宣言しておりましたが、各国のISAE重鎮から「それがないなら参加しない!」と恫喝され、ダンスどころかカラオケやインストラクターを招いての集団ダンス、若手企画のジェスチャークイズなど、非常な盛り上がりを見せました。さすが歌って踊れる中辻教授のお仕事、お見事!でした。バンケット・ディナーの参加者は170名でしたが、皆さん余韻さめがたく、二次会には80名余りが4つに分かれてカラオケ大会で深夜まで盛り上がったようです。


 2005年でのISAEは若手研究者に非常に大きな影響を与えました。今回の学会は、この時若手で参加していた方々が実質的に取り仕切って行われたものです。「これほどスムースでトラブルのない学会はないでしょう」とは、カナダのベテラン研究者の弁。一方、残念なのはこうしたバリバリの研究者が学会期間中みな雑用(受付、案内、コーヒーサービスなどなど)に追いまくられ、会場での発表や議論になかなか参加できなかったことです。これは以後、何とかしなくてはなりません。ただし、現在の若手は会場で様々な刺激を受けたものと思われ、今後大いに期待できると信じております。次の10年、我が国の応用動物行動学がどのように発展していくのか、楽しみなところです。


添付写真
初日のワークショップの後、日本食を楽しむ(左から)Dr. Cassandra Tucker, Dr. Michael Appleby, Dr. Jean-Loup Rault,Dr. Natalie Waran, 佐藤衆介博士、近藤誠司

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◇学術委員会報告
 



植竹勝治(麻布大学)

 学術委員会の仕事は、講演・発表プログラムを企画し運営するという、いわゆる大会の”肝(きも)”であるものの、Webシステム(OASES)やEメールを介した電子的なやり取りが主であり、また大会前が主戦場であることから、一般にはその苦労が目に付きにくいですが、実に大会の半年以上も前から、記念および基調講演者の選定・推薦を皮切りに、一般講演の要旨受付→審査→修正要旨受付・確認→受理・発表方法の通知といった準備作業を行ってきました。学術委員会事務局として、これらの作業の中核・中枢を務めてくれたのが、岐阜大学の二宮先生(ISAE東アジア地区Regional Secretaryでもあり、ISAE本部との渉外にも尽力)で、二宮先生は文字通りハブとしての機能を果たしてくれました。その間の特に心理的な負担たるや私たちの想像以上のものであったろうと思われますが、学術関係の全ての情報が彼を中継し、管理・調整されたことによって、学術関係のプログラムは、プロシーディングを開いて頂ければ一目瞭然なように、実に洗練されたものになりました。学術委員一同を代表して二宮先生には、そのご苦労とご功績に対して、まずは感謝を申し上げたいと存じます。


 大会のメインテーマは“Ethology for sustainable society(持続可能な社会のための行動学)”、サブテーマは1) Animal welfare assessment for good farm practice and production(優れた家畜管理と生産のためのアニマルウェルフェア評価)、2) Freedom to express normal behaviour in captive animals(飼育下動物における正常な行動発現の自由)、3) Behavioural approaches to wild animal management(野生動物管理のための行動学的アプローチ)、4) Human-animal interactions and animal cognition(ヒトと動物の関係および動物の認知)に設定いたしました。大会によっては、これらのテーマ設定の主旨が十分にそのプログラム構成に反映されていない、と感じることがありますが、今大会では、佐藤衆介先生(前東北大学、現帝京科学大学)のWood-Gush記念講演“A Study on the normal behaviour of cattle in Japan”に始まり、5題の基調講演(Appleby博士“Applied ethology for ever: animal management and welfare are integral to sustainability“、Tucker博士“Animal welfare assessment: the US perspective”、久世先生“How growing environment effects on reproductive behavior – taking Orangutan (genus Pongo) for example、森村先生“Social life of captive chimpanzees: the two faces of behavioral freedom”、Waran博士“One world-one welfare: the companion animal conundrum”)に至るまで、首尾一貫あるいは一気通貫されていたことは、我田引水になるかもしれませんが、過去の大会に比して内容的に誇っても良いのではないかと思います。一般講演は、口頭発表56題、ポスター発表112題であり、ワークショップの4題に加え、さらに新村先生・小木野先生を中心に、連日ランチョンセミナーとして、基調講演者を囲んでのグループディスカッションが若手研究者によって自発的に企画されるなど、将来を担う学生や若手研究者にとって受動的・能動的両面から刺激の多い大会となりました。


 大会後に、友永先生から、「日本開催なのだから、もっと日本人の口頭発表者が多くても良かったのでは」とのご意見を頂戴いたしました。確かに一般には口頭発表の方がポスター発表よりも格上と認識されているかと思いますが、ISAEではポスター発表の学生のみに優秀発表賞を設けているように、伝統的に特に若手にはじっくりと議論できるポスター発表を推奨しています。今回いみじくも(決して何ら調整をしていない、公明正大な審査であったことを審査担当として誓います)日本・米国・豪州から、しかも対象動物もヤク・ラット・ブタといった学会構成諸分野からそれぞれ受賞者が出たことからも、若手(学生)達にとって、良い国際競争かつ英語での説明・ディスカッション(訓練)の機会となったと確信しています。
二宮先生を筆頭に、学術関連の各種イベントの企画・運営に携わった新村先生・小木野先生・小倉先生をはじめとする応用動物行動学会の中堅・若手メンバーに加え、今回発表者として新たに参加・発掘された若手・学生諸氏が、今回のご経験を今後の研究活動のモチベーションとされ、おそらくまた10年ほど後に開催されるであろう将来のISAE日本大会をさらに良いものにしてくれると期待しております。






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◇ISAE2015の盛会おめでとうございます
 

藤谷玉郎(一般社団法人ふくしまプロジェクト)

 私ども一般社団法人ふくしまプロジェクトは、9月14日から17日まで札幌で行われたISAE2015をスポンサードさせていただきました。このような国際会議に協力させていただくのは初めてのことでしたが、みなさまの熱い議論の様子に触れ、刺激を得ることができたのは、私どもにとってなによりの収穫でした。関係者のみなさまに心より御礼申し上げます。そして、事務局のみなさま、本当にお疲れ様でした。


 ふくしまプロジェクトは、動物保護活動を行っている団体です。ほかの多くの動物保護団体と同様、保健所に保護されたペットや、飼い主がいろいろな事情で飼育できなくなったペットを引きとり、必要な治療やしつけをし、新しい飼い主を探すことを主な活動としています。ふくしまプロジェクトがほかの団体と異なる点といえば、保護活動の活動資金を、寄付や会費ではなく事業活動によって得た収益によっていることです。ペットフード等のペット用品の企画開発、市場開拓のための新サービスのアドバイザー、WEBサイトの企画・設計、さらにはPRを中心としたコンサルティングなど、私どもの事業内容は多岐に渡ります。オリジナル商品も含めた選りすぐりの食品を扱うECサイトの運営も行っています(詳しくはWEBをごらんください)。


 そんな、ちょっと変わった動物保護団体であるふくしまプロジェクトが、なぜ国際会議のスポンサーになったのか。それはやはり、動物保護活動においても「動物の福祉」をどう確保するかが、今後益々重要になってくると思われるからです。
多くの人に愛され、大事にされている伴侶動物ですが、だからといって全てが適切に扱われているというわけではありません。過度の擬人化や飼い主の思い込み、それ古い知見をもとにした不適切な取り扱いなど、決して好ましくない飼育状況に置かれている動物は少なくありません。5つの自由(飢えや乾きからの自由、痛み・負傷・病気からの自由、恐怖や抑圧からの自由、不快からの自由、自由な行動をする自由)をはじめとした動物の福祉の考え方を、もっと多くの、できればすべての飼い主が知る必要がありますし、そのためには飼い主へ動物を渡す私たちがもっともっと勉強しなければいけないと思っています。


 そんな思いから、動物の福祉、とくに伴侶動物の福祉についてその研究の最前線を知るために、今回スポンサードさせていただきました。各国の研究者のみなさんのセッションを聞き、現在の研究の状況を知ることができましたし、やはりこの分野はまだまだ未踏の地があるのだなとも感じました。これからの研究の進展に期待しております。小さな組織である私たちですが、これからもみなさまの研究の支援が少しでもできればと考えております。


 今回のスポンサードは、私の昔からの友人である東北農業研究センターの深澤君がとりもってくれました。地元の商工会議所が主催するキャンプで同じテントに同衾してから30年、第一線の学者として活躍する彼の姿は(学者の道をサッサとあきらめた私にとっては)まぶしいかぎりです。彼が札幌で体調を崩し、せっかく地元の人から教えてもらった激ウマジンギスカン屋で一献傾けられなかったのは残念です(私は行きましたけどね)。いつかリベンジしましょう。


 会員のみなさまの益々のご活躍と、応用動物行動学会のさらなる発展を願っております。また、私ども一般社団法人ふくしまプロジェクトにも温かい目を向けていただければと思います。


ふくしまプロジェクト
http://fukushimaproject.org/
ふくしまプロジェクトの「おいしい いいもの」
http://www.oishii-iimono.com/






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◇ISAE 2015 参加報告  

納多春佳(北海道大学 修士2年)



 2015年9月14日から17日の4日間、49th Congress of the International Society for Applied Ethology(ISAE 2015)が、我が国の札幌で開催されました。私は国際学会どころか学会自体初めての参加だったのですが、通いなれた自分の大学での開催ということで、幾分緊張が和らぎました。開催期間中は初日に少し雨が降った以外は天気も良く、からりと涼しい札幌の良さを感じてもらえたかと思います。


 私はMain conference hallで会場係を行っていたため、Opening CeremonyからClosing CeremonyまですべてのPlenaryや口頭発表を聞くことができました。初日に行われたWood-Gush記念講演では、佐藤衆介教授により「A study of the normal behavior of cattle in Japan」というタイトルの講演が行われました。この「normal behaviour」という言葉は、私にとって印象的な言葉となりました。アニマルウェルフェアと聞くと、ストレス軽減や、エンリッチメントなどがすぐに頭に浮かんでしまいますが、家畜をはじめとする動物が、自分のとりたい行動をとれるような環境を作ることが、アニマルウェルフェアの基本であることを改めて感じました。Plenaryや口頭発表では、なじみのある牛、豚、鶏のほかにもチンパンジーやヤギ、カンガルーなどが題材に扱われており、興味深く発表を聞くことができました。この学会でもうひとつ印象に残った言葉が、「Vocalization」です。普段牛や馬が鳴くのを耳にして、「なんで鳴いているんだろう」と思うことはあっても、その回数や頻度が心理状態やストレスを示す指標になりうると気がつきませんでした。今回の学会ではVocalizationに着目した発表も多く、今後の行動観察などでは動物たちの声にも注目してみようと思いました。


 15日と16日にはポスターセッションが行われ、私も「Relation between flight distance of mare and foal to human in Hokkaido native horse」というタイトルで45秒間のプレゼンテーションを行いました。大講堂にポスター発表者がずらりと並び、次々に自分の研究を紹介していくスタイルは、自分の興味のある研究を見つけやすくてとても良かったと思います。ポスターセッションでは何人かの方に研究の話を聞いていただき、自分の研究の課題やポイントを客観的に教えてもらうことができました。15日の夜にはすみれホテルでバンケットが行われ、カラオケに鳴子を使ったダンス教室にジェスチャーゲームに、大変盛り上がりました。私も1曲歌わせていただきましたが、あんなに大勢の前で歌ったことは、一生忘れないと思います。


 最後のClosing Ceremonyでは、次回のISAE 2016開催地であるエディンバラ大学の方々が、エディンバラの紹介ムービーを流して下さいました。非常に美しく雄大な街並みにうっとりし、是非足を運んでみたいと思いました。ISAE 2015の運営・進行に対するお褒めの言葉もいただき、嬉しかったです(私はマイクを持って会場内を右往左往しただけでしたが…)。二宮先生をはじめとする諸先生方、本当にお世話になりました。今回の経験は私の中でとても有意義なものになりました。この学会で得たものを糧に、これからも研究に励もうと思います。ありがとうございました。











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◇ISAE2015レポート  

野崎由美(東海大学 修士1年)


ISAE 2015(国際応用動物行動学会第49回大会)が9月14日から3日間、札幌(北海道大学)で開催されました。南国宮崎生まれの私にとって初めての札幌、初めての国際学会。大きな期待と不安を胸に北海道大学へ向かいました。札幌市の中心部にありながら、迷子になるほど広大な学内(東京ドーム38個分!ちなみに東海大学は16個分)では野生のリスや豊かな緑、小川、そして歴史的な建造物を簡単に見ることができ、とても驚き、感動しました。阿蘇外輪山の中で研究するのも良いですが、都会の中、“大志を抱く“のも良いなあと感じたところです。


 大会では、ポスターを中心に、多くの日本人の方々が発表されており、私自身も9月16日のポスターセッションにて、「Short-term memory testing using colour vision in laying hens」をテーマにポスター発表をしました。パッと見て研究内容が理解でき、足を止めてもらえるようなポスターにしよう!という思いで、ポスターとショートタイムプレゼンを作成した結果、多くの方々から質問とアドバイスをいただくことができました。特にRuth Newberryさんには、自らの「カニバリズムの社会的学習」についての実験における貴重な経験談を、Janice Siegfordさんにはニワトリの報酬へのモチベーションや、鶏種による学習能力の違いについてお話をうかがうことができたことがとても心に残っています。ポスターだけでなく、懇親会等でもその他多くのアドバイスをいただいたので、今後の実験に活かしていきたいと思っております。


 また懇親会では、動物ジェスチャーゲーム(ハシビロコウとナマケモノが抜群でした!)や鳴子を使ったよさこいソーラン節など、大いに盛り上がりました。カラオケでは、北海道大学大学院生の納多さんにお誘いいただき、私もアナと雪の女王の「Let it go」をありの〜ままに〜気持ち良く熱唱させていただきました。さらにISAE2015期間中は本当に多くの先生方にお世話になり、札幌の美味しい食べ物やお酒を美味しく楽しくいただきました。


 本大会を通して、海外の方の研究内容について質問できなかったことや、ランチディスカッションで全然会話に入れなかったこと、自分の英語力のなさなどなど、反省点や課題点は多く残っていますが、一日一日がとても濃く、たくさん刺激を受けることができました。あらためて研究っておもしろいな、自分の知らないことがこんなにたくさんあったのかと気づかされた3日間でした。このような貴重な経験をさせていただき、多くを学ぶことができたのも、本大会の運営・企画・準備をして下さった応用動物行動学会の皆様のおかげです。本当にありがとうございました。ここでの経験を生かし、今後さらに研究を進めていきたいと思います。




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◇夏の学校「応用動物行動学分野における女性研究者のキャリア形成とワークライフバランス」  

竹田謙一(信州大学)


2015年9月13日(日)に、「応用動物行動学 夏の学校・応用動物行動学分野における女性研究者のキャリア形成とワークライフバランス」と題したミニシンポジウムを、北海道大学農学部で開催し、26名の参加を得た。


 これまでの夏の学校でも、学生向けに研究者の道を目指すべくキャリア形成に関する講演は多くあった。しかし、本ミニシンポジウムではこれまでの視点とはやや異なり、女性の活躍に焦点を絞った内容とした。さて、このような趣旨のミニシンポジウムをなぜ企画したのかについて、自身の経験も踏まえて、少し述べたい。


 本ミニシンポジウムの翌日から開催された国際応用動物行動学国際会議(ISAE)では、世界各国から老若男女問わず、多くの研究者が集う。私が大学院生時に初めて参加したISAEはフランスのClermont-ferrandで開催された。その当時、フランス国立農業研究所(INRA)では、家畜の行動研究が盛んで、ウシの社会行動、維持行動を親和グループサイズの視点から研究していた私は、INRAでウシの行動研究者であったI. Veissierの論文をよく読んでいた。ISAEがフランスでの大会であったので、当然、ご本人にも会えたのだが、女性研究者であった(私の固定観念が大きく崩れたとき)。指導教官であったS先生にその旨を伝えたら、「そりゃあ、Isabellだからなぁ」とそっけなかったが、確かに「イザベラ」という名は女性の名前であった。しかし、そこまで気にして論文は読まないし・・・・いずれにせよ、この1995年にフランスで開催されたISAEは、研究面もさることながら、いろいろな点で驚きの連続であった。おそらく、頻繁に発表の場として演台に立った日本畜産学会の雰囲気が、そのような固定概念を作ったのかもしれない。日本畜産学会での発表は、常にスーツ姿であり、参加者のほとんどは男性。一方、ISAEでは服装は非常にカジュアルだし、おそらく2/3くらいの参加者が女性であった。中には、ベビーカーを押して参加していた研究者もいた。とにかく、女性のパワーに圧倒されたものだった。


 さて、日本はどうだろうか? 日本の大学等における教育・研究機関の採用事情もあるのだろうが、応用動物行動学を志す学部生、院生に女性はいるものの、女性教員、女性研究者は数えるほどしかいない。今日、多くの学協会では男女共同参画の取り組みや、研究発表会における託児室の設置など、女性が活動しやすい環境づくりが盛んである。


 このような背景もあり、10年ぶりに日本で開催されるISAE大会にあわせて、本ミニシンポジウムを企画した次第である。


 講師は、国立科学博物館で研究員を務める久世濃子さんと、信州大学農学部で研究員を務めている戸澤あきつさんの2名で、久世さんには「研究と結婚、出産、そして育児」と題して、戸澤さんには「定職を中断して、研究の道へ」と題して、それぞれご講演頂いた。
最初の演者の久世さんは、研究者であると同時に、妻であり、そして、2児の母でもある。ご講演中でとても驚いたのは、乳飲み子であるお子さんを抱えながら、オラウータンが住む森での海外調査をされていたことである。当時お勤めの研究所や現地スタッフ、そして何よりも、ご主人の並々ならぬサポートがあったことは言うまでもない。また、ベビーカーを押しながら、某大学の非常勤講師として教壇にも立たれた。久世さんは、「あえて子連れやベビーカーを持参することで、目立ち、そして、周囲からの理解も得られる。自分がそのように振る舞うことによって、女性研究者にどんなサポートが必要なのか、それを考えるきっかけにしてもらえれば」と、そうせざるを得ない事情があるにせよ、非常に献身的に、前向きに考えていらっしゃった。


 次の演者である戸澤さんは、動物病院の勤務医というポジションを捨てて(このような表現が良いのかは疑問・・・)、研究の道に歩まれた道程についてお話しいただいた。来院される患畜の飼い主さんとのやり取りから、動物の状態、飼育について改めて考えさせられたという。また、学生時代にはほとんど触れることが無かった「動物福祉」にも出会い、とにかく勉強しようと思ったとのこと。定職を辞して、もう一度、学生として勉強しようと決断するには、相当の勇気が必要だったのではと思い、質問したが、ご本人はあっけらかんとしており、「ただ勉強してみたかったから」とその強い行動力に脱帽した。


 お二人に共通していたのは、研究に対する強い志と、何とかなるのではというPositiveな姿勢であった。ぜひ、応用動物行動学会で発表されている女子学生の皆さんにも、果敢に挑戦していただきたいと思った。久世さんは、日本学術振興会の特別研究員でもあるのだが、この特別研究員制度の一環として、子育て支援や学術研究分野における男女共同参画の観点から、優れた若手研究者が、出産・育児による研究中断後に円滑に研究現場に復帰できるように支援する「特別研究員-RPD」事業があるという。興味のある方は、日本学術振興会の情報を入手いただきたい。
応用動物行動学会も、女性研究者への支援を検討すべきではないだろうか? 今回のミニシンポジウムでは、久世さんがご講演している横で、不肖、私が久世さんのご息女をだっこして、講演をサポートした。このミニシンポジウムが、本学会の男女共同参画への第一歩になれば、望外の喜びである。




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◇夏の学校感想  

中山 侑(茨城大学博士課程2年)


2015年9月13日ISAE2015前日に開催された夏の学校に参加させて頂きました。今回のプログラムは「女性研究者のキャリア形成とワークライフバランス」がテーマであり、女性である私にとって非常にタイムリーな内容でした。


 私は現在一般企業で働きながら大学院に通っています。いずれは研究の道一本に絞りたいという思いがある反面、二つの不安要素により踏み切るタイミングを計りかねていました。一つは「資金」の点です。奨学金の返済や授業料、生活費のことを考えると、定職を持たずに生活を保てるか不安でした。もう一つは「時間」の点です。今後出産や育児により研究者としてのキャリアを中断せざるを得ない中で、その後も続けていけるのか全く想像ができませんでした。


 このような不安を抱えていた中、国立科学博物館の久世先生が育児と研究を両立されているお話や、信州大学の戸澤さんが社会人から博士に転向されたお話は、新たな希望を見せてくださいました。お二人のお話の中で、私が抱えていた二つの不安要素についても解決策が示されていました。


 まず「資金」については、在学時にはRA(Research Assistant)、出産後には学振特別研究員RPD(Restart Postdoctoral Fellowship)という制度がありました。特にRPDは5年以内に出産・育児で3カ月以上研究を中断した者に対して子一人につき一回、年齢性別問わずに応募できるもので、PDと比較して審査に通りやすいそうです。出産後、研究に復帰する際に背中を押してくれる心強い制度であると感じました。
そして育児中の「時間」の使い方については、育児方法を工夫したり託児所等の施設を利用したりすることで、フィールドワーク等も可能であることです。久世先生は生後7カ月のお子さんと一緒に研究現場であるボルネオ島に行かれたそうです。それを実現させた工夫は「母乳育児」、「おむつレス育児」でした。母乳育児を行うことで、フィールドでいつでも授乳可能になります。粉ミルクのように水質や容器の衛生管理が不要な上、子どもの免疫力も上がるそうです。またおむつレス育児はEC(排泄コミュニケーション)とも言われ、子どもの自然な排泄欲に応えることで、おむつ以外の場所(トイレやおまる)で排泄するようになるため、紙おむつの交換が必要なくなるそうです。子どもに負担をかけるのではなく、むしろ自然体に合わせた素晴らしい育児方法により研究現場復帰されていたことにとても感銘を受けました。


 一方で、現在日本の大学では私立80%、国立65%が女性の雇用支援や体制整備の取り組みを行っていない厳しい現状も知り、今後進んでいく道は先輩方からノウハウを学び、工夫して確保していかなければならないと改めて感じました。今回のようなシンポジウムは女性研究者が置かれている現状に関しての認識を高める機会となるため、今後も積極的に開催されていくよう願っております。主催の皆様に心より感謝申し上げます。





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◇2016年度春季研究発表会の開催予告  

新宮裕子(北海道総研根釧農試)



 以下の日程で応用動物行動学会・日本家畜管理学会合同の2016年度春季研究発表会とシンポジウムを開催します。詳細は次号に掲載しますが、29日に懇親会も予定しています。ふるってご参加ください。


日程:2016年3月27日(シンポジウム)、30日(研究発表会)
場所:日本獣医生命科学大学(東京都武蔵野市境南町1-7-1)




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◇ISAE2016の告知、ISAE入会の勧め  

二宮 茂(国際連携担当幹事・岐阜大学)


国際応用動物行動学会の日本大会(ISAE 2015)が終わったところですが(皆様、お疲れ様でした)、今回は来年開催予定のISAE2016の告知をします。開催期間は2016年7月12日~16日で、研究発表要旨の申し込みがもうすぐ始まります(要旨提出期間:2015年12月7日~2016年2月29日)。ISAE2016は、例年の大会と違います。ISAE設立50周年の記念大会となっています。また、学会設立の地である英国スコットランドのエジンバラで開催されます。いつも以上に充実した大会となるものと期待しています。皆様参加しましょう!


 合わせて、ISAEの入会の案内です。ISAEは、家畜、ペット、動物園動物や実験動物など飼育下にある様々な動物の行動やウェルフェアの研究を行っている学会です。世界各国の500人近くの研究者が会員となっています。学会員になった場合、会員との交流やこれらの研究に関する情報を得る機会が増えるだけでなく、Applied Animal Behaviour Science を安く購読できたり、学術論文を投稿する際に英語のサポートが受けられたりするなどのメリットがあります。さらに、ISAE2016に参加する場合、会員は会員価格で参加でき(おそらく、入会した場合の年会費以上に参加費が安く設定されます)、ISAEから参加助成をうけるチャンスもあります。入会申し込みは、ISAEの学会HPから行うことができます(http://www.applied-ethology.org/isae_membership.html)。必要事項を書き込み、推薦者2名、自分の興味のある研究分野や入会の動機などを記入し、送信してください。ISAE理事会での審査を経て、会費(35ポンド、学生は15ポンド)を支払えば、ISAEの会員として登録されます。入会申込みにあたり、推薦者をどうするかなど質問がありましたら、ISAEの地域幹事でもある二宮まで連絡ください。




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◇編集後記   

深澤 充(NL担当 東北農業研究セ)

 ISAE2015も終わってしまい、ちょっとした喪失感があります。個人的には留学でお世話になったメルボルン大学のHemsworth教授が名誉会員になられたことがとても嬉しかったです。楽しかった学会の思い出は写真集がフェイスブックにアップされていますのでご覧下さい(https://www.facebook.com/isae2015?fref=nf)。


 と言いつつも早いもので、来春の大会とISAE2016について既に告知がでておりますし、次号には(たぶん)来夏に福岡で開催されるAAAP2016についての告知もでると思います。次の学会に向けて、稔りの多い秋にしましょう。




次号は来春の大会についての記事が中心になります。お楽しみに。






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ISAE2015 関連

夏の学校 2015

その他

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