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NEWSLETTER of The Japanese Society for Applied Animal Behaviour, No.33, JUL 2013

 
巻頭言「情報鎖国から抜け出そう!」

竹田謙一(副会長・信州大)




 インターネットを子供でも使うようになり、しかも電車に乗っていても画面をタッチするだけで世界の情報が手に取るように分かる時代に、皆さんは「なに言ってんの?」と思うかもしれません。確かに、日々更新される最新の情報を入手するのに、苦労することはなくなりました。その一方で、情報発信という点ではどうでしょうか? 「いやいや、LINEで友達とも頻繁に連絡を取っているし、日々の様子はFacebookを活用していますよ。」と言われる方も多いでしょう。別の質問をします。「それって、英語で情報発信していますか?」


 この初夏に、3年ぶりの国際学会参加の機会を得ました(その内容は、後段で)。以前のニュースレターで北海道大学の近藤誠司先生が指摘されていたように、日本の学会で発表された研究が「Animal Welfare」というキーワードで新たに語られたことは否めませんが、やはり国際学会は刺激的です。そして、衝撃もあります。今回の参加で最も衝撃的だったのは、「我々、日本人研究者が世界に向けて情報を発信していない」ことなのです。自分では発信しているつもりでも、そのことは残念ながら相手には伝わっていませんでした。


 数ある発表の中で、私の目を引いたポスターの1つに「Integrating technology and science to bridge the gap in animal welfare knowledge」がありました。この発表者であるDr.Vieiraは、AWINプロジェクト(アニマルウェルフェア科学における教育コンテンツを収集し、教育訓練をしたり、学習の機会を提供すること等で、アニマルウェルフェアを普及しようとする国際的なプロジェクト)において、アニマルウェルフェア教育と研究が世界でどのように行われているかをマッピングし、そのギャップをどのようにして埋めるか、あるいは教育や研究が行われていない地域との橋渡しをどこのハブ(Hub)機関が担ったら良いかという研究をしています。そして、驚愕の事実は、日本が無視されていたと言うことです。ポスターを指差し、「何で、日本がないの?」と質問すると、「日本も重要とは思っていたけど、日本語って難しいし、日本で出されている研究、教育資源を本屋するのも大変でしょ……」と、すまなそうな顔をして答えてくれました。


 何が言いたいかというと、私どもは真摯に欧州発信のアニマルウェルフェアを捉え、正しく理解し、日本でどんな研究が展開できるのかを考え、研究してきましたが、「それは日本語」なのです。私どもの活動も、「日本語のWebサイト」での紹介なのです。日本人は謙虚で、奥ゆかしい民族と言ってしまえばそれまでですが、私どもの蓄積された活動が世界には十分伝わっていなく、今回の国際学会参加で(しかも、最終日に)悔しい想いをした次第です。彼女は、その学会会場でのAWINプロジェクトの説明役も買っていたので、私の方から、日本には20人(それ以上の数を言えなかった…)くらいのアニマルウェルフェア研究者がいるよとか、日本語の論文も英語の要約が付いているとか、国際誌にも論文を書いている事を伝えました。彼女からは、研究者リストや論文にアクセスできるサイトを紹介して欲しいと言われました。今後、本学会でも情報を収集し、世界に打って出るべく、英語での情報提供と発信を促進すべきと思った次第です。


 手始めにできることを考えると・・・・・・
 1.ホームページの英語化
 2.パーマネントの職についている研究者のリスト化
 そして、
 3.研究成果の論文化 です。


 今回の件を機会に、妻が買った少女漫画の一こまのセリフ“Publish or Perish”を自分の胸に刻み、前進したいと思う今日この頃です。


 みなさんも、積極的に自分の研究成果を世界に向けて情報発信しよう!





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ISAE2013 ブラジル大会報告

竹田謙一(信州大)





 ISAE2013への参加は既に決めてはいたものの、5月の連休間際まで大きな決断ができず、悶々とした日々を過ごしてきた。その最大で、唯一の理由は、大会当日の朝から開催されるcouncil meetingへの出席であった。ISAEにはいくつものregionが設定されており、我が日本はEast Asiaに区分され、歴代のregional secretaryは日本人が務めてきた。現secretaryは、本学会の国際連携担当幹事でもある岐阜大学の二宮茂先生である。本来であれば、彼がcouncil meetingに出席するべきところであったが、担当している実習を2回も休講しなければならず、council meetingはもとより、ISAE2013ブラジル大会への出席もままならないという。以前より、ISAEのcouncil meetingは朝から夕方まで議論が続き、私が大学教員になりたての頃に参加したISAEでは、歴代のEast Asia regional secretaryを務めてこられた先生方が疲れ切った顔をして、welcome partyに参加していたのを目の当たりにしており、その会議の壮絶さが伺えた。ただ、本年度から本学会の事務局長を拝命したこともあり、覚悟を決めて、council meetingに二宮先生の代理出席をすることにした。

 その結果、今回のISAE2013の参加にあたり、本学会が管理する「国際応用動物行動学会議派遣等基金役員」から渡航補助金基金の補助を受けた。ここに付して、感謝申し上げる。


 さて、今回のISAE2013は、ブラジル南部にある大西洋に面した島、サンタカタリーナ島のフロリアーノポリスで、6月2日から7日までの5日間の開催であった。それにしても、ブラジルは遠いのである。太平洋を越える東回りにせよ、ユーラシア大陸、大西洋を越える西回りにせよ、移動だけで2日間かかる。今回は初の大西洋越えに期待し、ロンドン経由の西回りでブラジルに向かった。信州・伊那谷から成田まで半日、成田からロンドンまで半日、ロンドンで6時間の待ち合わせ、ロンドン・ヒースロー空港の最終便がブラジル・サンパウロ行で、寒い機内に揺られること半日、数時間の乗り継ぎ時間を日の出前のサンパウロ空港で待ち、約1時間半でフロリアーノポリス空港に到着した。会場のある町までも車で1時間もかかり、正直、疲れたが、JICAの仕事で、年数回、南米を訪問している帯広畜産大学の河合先生の過酷なスケジュールを思い出し、河合先生の偉業(?)に改めて脱帽した。

 さて、council meetingでは、歴代secretaryの先生方から、「ちょん髷のカツラを被ってサンバを踊れば大丈夫」とか、「昼食のランチに期待して」とか、「ある話題の時に日本はどうなの?と話を振られるだけ」と励ましの言葉をいただいた。代理とはいえ、出席するからには内容を理解し、二宮先生に迷惑をかけてはいけないと思い、彼から転送されてきた膨大は会議資料を飛行機の中で目を通し、想定質問まで考えた。また、当日の朝は宿泊先から会場までの送迎バスも出ない。地図を見ると、歩いて行けそうだったので、事前に会場を確認しようとISAE2013に参加する私の指導院生2名とともに、ブラジルの初秋なのに燦々と降り注ぐ暑い日差しの下、行けど暮らせど会場のホテルは見えてこない。途中、ゼブー牛の放牧風景が見られたことが慰めになった(写真1、2;すべて繋牧なのが興味深い)。ようやく会場のホテルにたどり着いた(写真3;会場入口)。


 Council meetingでは、指定の狭い会議室に行くと用意されていた椅子はわずか8席で心細いというよりは、緊張感が増した。欠席のsecretaryもおり、会計、会員担当幹事はSkype で報告していた。会議の主な内容は、以下のとおり。

・2014年大会はスペインのVitoria-Gasteiz、2015年は札幌、2016年はUKのEdinburgh、2017年は、outside Europeとなるので、どこにするか議論の後、総会でAustralia – NZ - Africa regionで考えたらと言う話に。
・各regionからの活動報告。East Asiaについては、二宮先生の資料に基づいて、説明した。なお、余計なことを私から話したのだが、East Asiaの活動はJapanに限定されているので、他の国とのコラボは、検討中と発言した。他のsecretaryからは、East Asiaはそれぞれの国で言語も違うし、難しいよねとの同情の声も。また、日本以外の国の会員が少ないことも、日本に活動が限定されるよねとの声もあった。
・2015年大会については、前年のcouncil meetingで北海道大学の近藤誠司先生が提示された資料を見ながら概要を説明した。しかし、大会期間中、札幌がどこだかわからない、日本は物価が高いからという話が聞かれた。正確な情報をWebで早めに知らせる必要がありそうな・・・
・Dr. Broomから、AWINプロジェクトに対する学会への協力依頼があった。話を聞いていると、教育コンテンツのWebサイト上での共同利用、研究者情報(論文へのリンクなど)は日本でも参考になりそうだった。EUの学生だけが対象なのか、ISAE会員以外も利用可能なのかについて、質問したところ、世界中でAnimal Welfareに興味があるすべての人が利用可能とのこと。
・その他、ブラジル大会での話として、政府からの補助金が無く、運営が大変だったことや、学会学生委員の紹介、会員の減少と会費値上げの検討など、日本の学会と同じような悩みが国際学会でもあるのだなあと痛感した。

 Council meetingは、同日の夜にWood-Gush memorial lectureが控えていることもあり、9時からの会議は16:00には終了したように記憶している。


 Woo-Gush memorial lectureは、行動生態学の話で私自身パッとしなかった印象があります(というより、council meetingの疲れでが・・・)

 本格的な大会初日のplenary talkで、Dr. Wearyがsufferingとpainの違いについて、医学分野も含めた学術論文での使い方の違いや事例を紹介し、両者の言葉をどのように使い分けるべきかとの話題提供的な発表が興味深かった。応用動物行動学会でも、現在、企画委員会を中心に用語集の編纂が検討されており、改めて用語の再確認がから始めるべきだと感じた。翌日のplenary talkでは、Dr. Koeneが“Many mammal species are unsuitable for companion animals”という演題で講演した(写真4)。当初、野生動物を含めた様々な動物種をペットして飼育するにはいろいろ問題があるとの内容かと想像したが、動物園での展示動物に関する研究成果の発表と考察であり、管理者の視点、飼育員の視点、動物行動学研究者の視点で展示に適した動物が異なることを数値化した試みは、参考になった。


 全体として、相変わらず大学院生、ドクターコースの発表会の感は否めなかったが、その傾向はここ数年続いていたので、違和感はなかった。特に口頭発表はその傾向が強く、パーマネント研究者はポスター発表だった。想像するに、次のポスドクポジションや就職先を考え、自分自身の宣伝のために、積極的に口頭発表しているのだろう。もちろん昨年度と同様に、ポスター発表者にも 1 minute presentationがあった。単純にポスター発表だと、あまり興味をひかない発表を素通りしがちだが、1分間の口頭発表(時間が来ると強制終了)を全員の前で行うと、自身の発表にもより多く興味を持ってもらえるし、聞いている側も発表内容がよりイメージでき、それぞれの発表に興味が持てた。類似した取り組みは、応用動物行動学会の春季研究発表会で行ったが、時間的制約のため、5ヵ所で同時進行とした。時間さえ許せば、全員の発表を口頭形式で聞きたいものだ。

 それ以外に気になった点は、特にEU諸国参加者の発表で、2005年から2010年までWQプロジェクトが終わったら、今度はAWINやAWAREのプロジェクト下での研究が行われており、EUは研究費の獲り方がしたたかというか、どのようにして国や地域を動かしているのか分からなかったが、ビックプロジェクトを作って、AW研究を進める手法にはEUの底知れないパワーを感じた。Animal Welfare研究が盛んだと受け取れるEU諸国だが、1つの国の人的、金銭的資源は少なく、お互いが連携して、大きなものを作っていくという姿は、参考になった。もう1つの気になった点は、タブレット端末が普及していることを反映してか、口頭発表の最中も、スクリーンよりも机上の画面に夢中になっている参加者が多数おり、情けなかった。


 学会中日のExcursionは、口蹄疫への懸念などの衛生管理のこともあってか、学術的な要素はまるでなく、観光そのものであった(写真5)。そんな中で、私の知的好奇心を満足させてくれたのは、野生のカピバラの出現であった(写真6)。そして、前日のBanquetで踊り足りなかったのか(写真7)、Excursionの海賊船の上でも踊るのである(写真8)。とにかく、彼ら、彼女らは、踊りたいのである。2015年の日本大会でダンスをやめたら、きっと暴動が起きるに違いない。


 最終日の昼食前に、各賞受賞者が発表された。student poster competitionにおいて、上位3名の学生がcommunication、design、ideaに分かれて賞を受賞し、日本から参加した信州大学の三輪恒介くんが“The best poster communication award”を受賞するという快挙を成し遂げた。


写真1 写真2 写真3 写真4 写真5 写真6 写真7 写真8


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ISAE2013参加報告

三輪恒介(信州大学大学院農学研究科 修士課程2年)





 2013年6月2日から6日にかけて、ブラジルのフロリアーノポリスで第47回国際応用動物行動学会が開催され、日本からは私を含め3人が参加した。私にとっては初めての国際学会で、初めての海外でもあった。会場はとてもきれいな海に面した大きなホテルで、気候は6月の日本と同じような気候で過ごしやすかった。


 学会の最初の講演はWood-Gush メモリアルレクチャーで、Oliveira博士が生態学の話をされた。分野は多少異なるが、野生昆虫の研究について聞くことができた。次の日からの発表では、自分の研究の参考になりそうな発表を聞いた。山羊の毛のコルチゾール値と行動の関連性の研究では、毛のコルチゾールはストレス評価(特に長期ストレスの指標)に有用であることが確認でき、飼槽の利用頻度と病気の関連性などの研究はこれからの参考にしたいと感じた。ブタの尾かじりとセロトニン代謝の研究では、セロトニンの代謝解析のために脳の一部を採取し、尾かじりの発現が脳内のセロトニン濃度変化と関連していることが示唆された。家畜の行動と脳内物質の関係について、実際に脳を解剖して研究することに衝撃を受けた。学会での発表はアニマルウェルフェアに関連するものが多く、世界的な勢いと研究への熱意を感じた。


 また、学会での発表を聞いていて、プレゼンテーション能力の高さと自信にあふれた発表に圧倒されることが多かった。特に、ウシがスプリンクラーを利用するという研究発表は内容が整理され、わかりやすかった。背景では過去の同様の研究がわかりやすく整理され、この研究の目的が明確にされていた。最後には今回の研究結果が、今までの研究結果と比較して、どこに位置するのかを示し、これからの研究の課題と必要性が説明された。当たり前のことかもしれないが、今までの自分の発表は結果を並べているだけだと感じた。これからは、この発表のようにわかりやすく発表したいです。


 私は、電動カウブラシと固定型カウブラシへの乳牛の選択と利用方法の違いについてポスター発表した。学会初日、初の海外で、日常英会話もろくに話せず不安でいっぱいのままポスター張りに会場へ向かった。ポスターを張っていると、隣でポスターを張っている女性の方が話しかけてくださった。早すぎて聞き取れない英語、思わず止まってしまった。自分なりに質問に答えようとするが、見当違いのことを答えているみたい。英会話の大切さを実感した。学会が本格的に始まり、ポスター発表の時間になると質問や意見をくれる方々が来てくれた。英語が聞き取れず質問をもう一度聞き返し、紙に書いてくれと言っても、みんなやさしく受け答えしてくれた。時には、会場を歩いていると、このポスターはあなたのですかと、ポスターの前まで誘導され、質問してくださり、カウブラシ利用動画のぱらぱら漫画に興味を示してくれた。他にも、カウブラシの研究をこれから行うから、情報交換したいと名刺をくださる方までいた。自分の研究に関心を持って、質問や意見をしてくださり、本当にうれしかったし、これからの研究に参考になることも多かった。しかし、英会話の能力があり、もっと質問に答え、議論することができればさらに有意義なものになっただろうと感じた。


 最終日の昼食前に、最優秀ポスター賞の発表があった。自分の名前が呼ばれ、頭が真っ白になった。最初はうれしさよりも何が何だかわからなかったのが正直な感想であったが、自分の研究が認めてもらえたことは今までになくうれしかった。また、ウシの身繕い行動とカウブラシに対する自分の熱意が伝わって良かったです。


 初めての国際学会で、戸惑うことも多かったが、大変貴重な経験をすることができた。今回の国際学会参加には、応用動物行動学会から参加助成を頂いた。このような機会をくださった応用動物行動学会関係者の皆様に深く御礼申し上げます。

発表ポスターの前で 日本からの参加者(左から竹田先生、三輪、黄さん) ポスター賞受賞後に(A.Valros前会長と) 会場からの風景 エクスカーションで乗船した海賊船みたいな船


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◇日本家畜管理学会・応用動物行動学会
 シンポジウムのご案内

江口祐輔(シンポジウム担当・近中四)



 日本畜産学会第117回大会期間中の9月8日に日本家畜管理学会・応用動物行動学会シンポジウムを開催いたします。このシンポジウムはタイムリーな話題提供をおこなうとともに、本学会で育ち、博士号を取得した若手研究者の発表の場ともなっております。先輩研究者から期待を込めた試練?が与えられ、さらにステップアップしてもらうためでもあります。そこで今回は最近、博士号を取得した小山奈穂氏、豊田英人氏、加瀬ちひろ氏、小倉匡俊氏に講演をしていただきます。小山氏がゾウ、豊田氏と加瀬氏がハクビシン、小倉氏がニホンザルを対象として研究を行なっております。ゾウとニホンザルは飼育個体、ハクビシンは野生個体と捕獲後飼育した個体を対象にしながら目指すゴールはエンリッチメント、認知、繁殖特性、運動能力、被害対策と多岐にわたっております。応用動物行動学の懐の深さを若手の勢いのある発表とともに感じていただけたら幸いです。

日本家畜管理学会・応用動物行動学会シンポジウム
「野生動物研究最前線」—若手による研究発表会—


日時:2013年9月8日(日)13:30~16:00
場所:新潟大学五十嵐キャンパス 総合教育研究棟B350講義室

プログラム
開会挨拶  
 植竹 勝治(麻布大・応用動物行動学会長)
13:40~14:25 動物園飼育におけるゾウのエンリッチメント(仮題)   
 小山 奈穂(田方農業高等学校)
14:25~15:10 ハクビシンの繁殖特性(仮題)  
 豊田 英人(埼玉県こども動物自然公園)
15:10~15:55 ハクビシンにおける侵入行動(仮題)
 加瀬 ちひろ(自然環境研究センター) 
16:05~16:50 ニホンザルの環境エンリッチメントにおける認知的基盤(仮題)
 小倉匡俊(京都大学野生動物研究センター)

司会:江口 祐輔(近畿中国四国農業研究センター)


羽ばたけ、若手研究者



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◇第19回日本野生動物医学会京都大会 
 自由集会開催のお知らせ

小倉匡俊(京都大学)




 本年度より応用動物行動学会の企画委員を拝命いたしました京都大学野生動物研究センターの小倉匡俊と申します。どうぞよろしくお願いします。


 さて、来たる8月30日から9月1日まで京都大学にて第19回日本野生動物医学会が開催されます。それにあわせて、応用動物行動学会の共催のもと下記の通り自由集会を企画いたしました。日本野生動物医学会は、獣医を中心とした動物園関係者と獣医系・非獣医系双方の若い学生の参加者が多く、応用動物行動学会に興味をもってもらうためのきっかけに本企画がなることを意図しています。ぜひ応用動物行動学会の会員の皆さまにもご参加いただき、応用動物行動学会と野生動物医学会の関係構築にご協力いただければ幸いです。

企画名: 動物園動物の行動研究:行動観察をしてみよう!
・主催: SHAPE-Japan、応用動物行動学会
・代表者: 山梨裕美、小倉匡俊
     (京都大学野生動物研究センター・日本学術振興会)
・日時: 9/1(日)10:00~12:00
・場所: 京都市動物園
・対象: これからの動物園を担う学生・動物園職員
・企画趣旨
(A)動物の行動観察の方法を学んでもらう
(B)アニマルウェルフェアと環境エンリッチメントに
                  興味を持ってもらう
(C)応用動物行動学会とSHAPE-Japanの告知および宣伝



・自由集会の内容:
動物のことをよく知るには、まず動物の行動を観察してみることが欠かせません。動物の行動を科学的に観察・記録するためには、いくつかの手法を使いこなす必要があります。本自由集会ではまず行動観察の基本的な手法を学んでいただきます。その後、動物園で飼育されている動物を対象に実際に行動観察をおこない、最後に記録したデータのまとめと紹介をおこなっていただきます。


 会場のキャパシティの都合から、参加は事前登録制とし、人数に制限を設けさせていただく予定です。方法については動物園との折衝がまだですので決まっておりませんが、決まりしだい日本野生動物医学会ホームページ等で告知いたしますので、そちらをご覧いただくか、小倉(ogura@wrc.kyoto-u.ac.jp)までご連絡ください。




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ミニシンポジウム
「野生動物の行動観察法入門
ーあなたの行動観察法はだいじょうぶ?」

(第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会)

南 正人(麻布大学)

 本年4月に入会したばかりの会員です。個体識別した野生のニホンジカを対象に、25年間ほど行動や生態を研究してきました。
私の所属する哺乳類学会には野生の哺乳類を対象に研究している人が多くいます。しかし、対象の制約や、新しい技術の発達に伴って、動物の行動を直接観察する研究がかなり減ってきています。霊長類学会には日本の霊長類学の伝統である「個体識別」と「長期継続調査」をベースに行動観察をしている研究者が少なくありません。そこで、行動観察研究のおもしろさを伝えたくて、本年の哺乳類学会と霊長類学会の合同大会で、ミニシンポジウムを開くことにしました。


 以下、開催趣旨からです。「革新的な機材や技術に過度に依存して、いつしか直接動物を観察することを忘れてはいないだろうか? 直接動物と対峙し、自らの目を直接通して観えたものを記録する。実に単純ではあるが、だからこそ分析して出てきた結果にも自信がもてる。その動物のことが心底分かった気になれる。自分自身が観てきたものだから。そして何より楽しい。見えない動物の生態が、機材や技術を駆使して“みえる”楽しさも分からないわけではない。しかし、そうした楽しさを追求する皆さんにも、ぜひ直接観察を体験してもらいたい。」
 シンポでは、方法論と実践例を紹介します。行動の直接観察が身近なものとなり、自分でも実践してみようという方々が増えることを期待しています。ぜひ、ご参加下さい。

第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会(MPJ2013)
  2013年9月6日〜9日  岡山理科大学


ミニシンポジウム(開催日調整中で未発表)
「野生動物の行動観察法入門-あなたの行動観察法はだいじょうぶ?」


趣旨説明:中川尚史(京都大学大学院理学研究科)
 演題1 方法編:行動データ収集法
  井上英治(京都大学大学院理学研究科)
 演題2 実践編①:クリハラリスの対捕食者行動を例に
  田村典子(森林総合研究所多摩森林科学園)
 演題3 実践編②:ノネコの雄間のマウンティングを例に
  山根明弘(北九州市立自然史・歴史博物館)
 演題4 実践編③:ニホンザルの毛づくろい中の抱擁行動を例に
  下岡ゆき子(帝京科学大学生命環境学部)
 演題5 実践編④:ニホンジカの交尾行動を例に
  南正人(麻布大学獣医学部)



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◇夏の学校の開催予告

新村 毅(基礎生物学研究所・総合研究大学院大学)





 今年、学会初めての試みとして、若手研究者のための「夏の学校」を企画しました。2013年9月2・3日(月・火)に、国立信州高遠青少年自然の家にて開催します。


 夏の学校は、学部生や大学院生などの若手研究者が一堂に会し、応用動物行動学を牽引する講師陣や同世代の仲間など、年齢や分野の垣根を超えて交流する合宿形式の研究会です。先端の研究を学ぶだけでなく、グループディスカッションを通じて研究の楽しさを発掘したり、応用動物行動学について語りあったりする場を提供します。大学や学会では味わうことのできない魅力がそこにはあります。


 誰でも参加可能ですので、奮ってご参加下さい。わかりやすいようにと考え、若手研究者を学部生・大学院生と書きましたが、厳密な定義をするつもりはありません。自分が若い研究者だと思うのであれば、どなたでも(教授でも学長でも)ご参加頂けます。若手を鼓舞して頂けるシニアの方の参加もお待ちしております。
詳細については、ポスターに記載されておりますのでご確認ください。


当日、皆様とお会いできることを楽しみにしております。

※(編集より)ニュースター発行時点では、応募〆切を過ぎておりますが、主催側のご厚意で若干名であれば、受け入れて下さるとのことです。若手会員の皆様の積極的な御参加をお待ちしております。


ポスターのダウンロードはこちら


ポスター制作:伊藤(東海大)




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◇動物写真コンテスト開催のお知らせ

伊藤秀一(東海大)

 応用動物行動学会として初めての会員参加型企画である動物写真コンテストを開催することとなりましたのでお知らせいたします.


 写真コンテストのテーマは“応用動物行動学のすばらしさをアピールするために,私たちが研究対象にしている動物の「美しい,楽しい,カッコイイ」姿を表現しよう”です.国際学会等に参加すると,各種のパンフレットやポスターに,すばらしい家畜(特に産業動物)の写真が使われていることに驚きます.そこで,今回,会員の皆様のご協力をいただき,私たちが研究している動物達のすばらしい姿をアピールすることを目的として写真コンテストを開催したいと考えて,学会役員で議論を重ねてきました.もちろん,伴侶動物や展示動物に関しても,私たち「研究者」の目線からの写真は貴重であり,


 コンテストにご応募いただいた写真は,学会ホームページ等の電子媒体や,ポストカード・冊子,ISAE2015のパンフレット・会場・懇親会などでのポスター,もしくはプロジェクターでの投影など,学会活動に使用させていただくことを検討しています.現在のところ,賞品等につきましてはその有無も含めて詳細が決まっていません.まずは「動物のすばらしさを伝えたい」という気持ちで応募していただければ幸いです.審査は応用動物行動学会評議員が公正に行います.


 応募方法に関しては,サーバの準備を進めていますので,決定次第メーリングリストや学会HPにて連絡いたします.


 詳細は下記のパンフレットをご覧ください(PDFをダウンロードして掲示していただけたら幸いです).参加資格は,会員のみならず,会員の皆様から紹介を受けた方(例えば研究室の学生さんや職場の同僚の方)も応募可能です.

2013年9月2日追記

テーマ :
私たちが研究対象にしている動物の
 「すばらしい,美しい,楽しい,カッコイイ」を表現したもの.


参加対象 :
応用動物行動学会員または会員の紹介がある者


募集部門 :

 産業動物部門(牛、豚、鶏など主に産業利用を目的とした動物)

 展示動物部門(ゾウ、サル、チンパンジーなどの動物園動物)

 伴侶動物部門(イヌ、ネコなど主にペットとして飼育される動物)

 フリー動物部門(上記に該当しない野生動物や実験動物など)

  ※動物のみでも,人と動物が写っているものでも応募可能ですが
   人が写っている場合には応募前に了承をとって下さい



応募形式・点数 :
各部門につき一人一点応募可能です(JPEG形式にて1ファイルは2MB以内).


締切:
2013年9月30日まで.


応募方法:
 以下のフォームからアップロードしてください.
 http://www.jsaab.org/photocontest/
 (写真を添付するページは詳細を入力し「確認」ボタンを押した後となります.ご注意ください)
 アップロードがうまくいかない場合はshuichi_ito@jsaab.orgまでメールにて連絡をお願いします.

1. 応募作品の著作権は、撮影者に帰属します。
2. 応募作品は、当学会や2015年に開催予定のISAE2015等の広報活動として、ホームページやパンフレットなどで使用することがあります。使用にあたっては撮影者の氏名表示を行います。
3. 主催者がインターネットWeb上で利用する場合には、撮影者の氏名を表示します。
4. 主催者は応募作品を第三者に貸与することはありません。
5. 応募作品が他のコンテストでの入賞や印刷物、展覧会などで公表されていることが判明したときは、主催者は入賞、入選等を取り消すことができます。
6. 人物を主題にした作品の場合は了解を得てください。
7. 他人の著作物を撮影し、それを素材にして加工や合成をしますと、著作権の侵害にあたる場合がありますので注意してください。
8. 彩度や明度,WB等の修正などの通常のレタッチは可ですが,画像処理ソフト等で画像を加工した写真で応募することはできません.



ポスターのダウンロードはこちら








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◇「獣医学・応用動物科学系学生のための野生動物学」
 刊行にあたって

坪田敏男(北海道大学)

 最初に、私は獣医学研究科の教員なので、どうしても獣医学からの視点に偏ることをお許し願いたいと思います。この本は、獣医学と応用動物科学を学ぶ学生および大学院生のための“野生動物学”のテキストとして出版されました。とくに獣医学では初めてとなる“野生動物学”のテキストであり、長年この分野に身を置いてきた者としては感無量の感慨があります。といいますのも、私が学生だった今から30年前、このような状況はまったく想像できませんでした。全国見渡しても獣医学部(科)に「野生動物」を冠につける研究室は一つもなく、専任の教授は一人たりともいませんでした。今や(未だとも言えますが)全国には北大、岐阜大、日獣大の3大学の獣医学部(科)の内に「野生動物学または野生動物医学」を看板にした研究室が存在するし、日大、北里大、酪農大などには応用動物科学分野に野生動物関連の研究室が設置されています。他にも兼担や非常勤の教員が野生動物学を担当している大学が多数あります。


 獣医学では、卒業するまで(獣医師になるまで)にすべての学生が最低限身につけておくべき知識や技術を教授するためにモデル・コア・カリキュラムを設定しました。選ばれた51科目の一つに“野生動物学”があります。このように野生動物学は徐々に獣医学の中で市民権を得てきており、今やすべての獣医学徒が教わる科目として定着しつつあるといえます。


 本テキストは、23名の教員や専門家によって執筆されています。基礎から応用まで、総論から各論まで、かなり広範囲をカバーしていますので、これだけ多くの方々に加わっていただき、各専門分野を丁寧に記述していただきました。逆に、体裁や論調に統一性が貫かれていない点は否めないと思っています。年を追って改訂していく中で改善を図りたいと考えています。既に600部近くが売れており、全国の獣医学および応用動物科学を学ぶ学生が手にしているようです。これから授業が始まる大学もあり、今後さらにこのテキストを片手に野生動物学を勉強する学生が増えることでしょう。


 ただし、毎年のように感じることがあります。高校生の入試面接や入学間もない新入学生などと話をすると、目を輝かせて野生動物に興味があって将来野生動物に関わる仕事に就きたいと訴えますが、大学での勉強が進み高学年になるとその志はどこかに消えてしまいます。われわれ教員が野生動物を研究するおもしろさを十分に伝え切れていないことの責任は大きいと思いますが、一方で、就職先の少なさやアプローチの難しさが彼らの興味を削いでしまうのかもしれません。その解決には長い年月を要することと思いますが、少しでも多くの若い人たちにこの分野に関わってほしいと願って止みません。

村田浩一・坪田敏男編(2013)
獣医学・応用動物科学系学生のための野生動物学.文永堂出版.
ISBN 978-4-8300-3244-8 8,000円

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◇佐賀大学農学部附属アグリ創生教育研究センター

江原史雄(佐賀大学)


 佐賀大学の江原史雄です。今回は、研究室紹介の機会をいただき、ありがとうございます。佐賀大学とは珍しいという方も多いかと思いますが、是非この機会に、佐賀大学の新たな試みと、私の研究について知っていただければと思います。


 私の所属する研究室は、佐賀大学農学部附属アグリ創生教育研究センター内にあります。本センターは、昨年10月に、佐賀大学の海浜台地生物環境研究センターと農学部附属資源循環フィールド科学教育研究センターを統合し、新センターとして誕生しました。そして開所に合わせ、新たに立ち上げた「アグリ医療部門」において、尾野喜孝教授と共に、農業と医療分野の連携をめざして研究をスタートさせたところです。このアグリ医療部門では、家畜を医療や福祉、教育の分野に活用するプロジェクトを進めています。生産の過程で「モノ」として捉えがちな家畜の「いのち」に着目し、触れ合いを通して情緒的な安定や生活の質の向上につなげることを目的として、本学の医学部および文化教育学部と連携し研究を行っています。これらのことは、佐賀新聞にも取り上げられました。現在、センターでは、繁殖雌牛(黒毛和種)、トカラヤギ、ポニーを飼育しており、研究・活動に活躍してくれています。具体的な取り組みとしては、農場資源を活用し、「家畜や植物の世話などの農作業体験を通して、発達障害児や不登校児を支援する効果的なプログラムの開発」、「屋外での植物の観察や栽培、家畜とのふれあいを用いたヒューマンケアの開発・検証」などのテーマで動き出しています。これらを進めていく中で、ヒトと動物(家畜)の関係の研究が非常に重要であり、ヒトと家畜の友好関係構築、対象となる家畜の適正評価方法、ストレス管理は重要な課題だと考えています。動物がハッピーで楽しくあるからこそ、それを見た私たちもそのパワーを与えられてハッピーになることができ、動物がくつろぐ姿を見て私たちも安心し、ゆったりとした気持ちになることができると思います。現在は、それらの課題解決に向けて、様々な条件での行動観察、生理的な変化やストレスマーカーの測定などにより、検討を進めています。


 いろいろと始まったばかりですが、これにより飽食の時代や大量生産の中で一方的に搾取してきた家畜の「いのち」を見つめ直し、ストレス社会を改善する新たな研究にしたいと考えています。今後は、学会等で成果を報告できればと思っております。学会会員の皆様、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。











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◇編集後記 

深澤 充(東北農業研究センター)

   




暑くなってきましたが,皆様お体をお大事に・・・・
(編集者休養中のため,東海大伊藤が代筆しております)

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