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NEWSLETTER of The Japanese Society for Applied Animal Behaviour, No.25, July 2011

 
◇間近に迫ったAnimal2011について

 副会長・友永雅己(京都大学霊長類研究所)


皆様暑中お見舞い申し上げます。


 さて、「Animal 2011:日本動物心理学会(第71回)・日本動物行動学会(第30回)・応用動物行動学会/ 日本家畜管理学会 (2011年度) 合同大会」(長いですね^^;)まであと少しとなってまいりました。2011年9月8日(木)~11日(日)の4日間という、「前代未聞」の規模となっております。


 内容はどうなっておるのかとやきもきされておられる方もいるかと思います。近日中にプログラムもアップされるかと思いますが、少しだけウィキリークスばりに情報を漏えいしておこうと思います。


 まずは、発表件数です。シンポジウムやワークショップは、公開合同シンポジウムが1件、各学会企画シンポジウムが3件(応動行/家畜管理は合同シンポです)、動物看護学会講演会が1件、そして公募されたワークショップが9件です。応動行/家畜管理の合同シンポは9日の午後に予定されているかも。


それぞれのシンポジウムの題目をご紹介しておきましょう。
・Animal2011サテライト公開合同シンポ「イヌを学ぶ、イヌに学ぶ」
・日本動物心理学会企画シンポ「動物研究最前線:擬人主義とどうつきあうか」
・日本動物行動学会企画シンポ「せがむ子供と渋る親:Begging再考」


 そして、わが応用動物行動学会・日本家畜管理学会企画シンポについては少し詳しくご紹介します。
「彼を知り己を知れば・・・─動物の行動特性を生かした害獣・害鳥・害虫対策─」
                   シンポジウム要旨(文案:青山真人)


 我々ヒトの周りには、様々な種の家畜、伴侶動物や野生動物が生活している。ヒトと彼らは、互いに関わり合いながら生きているので、ヒトとこれらの動物との関わりを良好に保つこと、あるいは可能な限り軋轢を最小限に留めることは、重要である。ヒトと動物の間に生じる軋轢の、典型的な例として、ヒトの生活圏あるいはその周辺部で生活している野生動物による被害がある。ヒトへの直接的な危害以外にも、農作物への被害、家屋・設備の破壊、ごみ荒らし等、間接的な被害も深刻である。これら被害の防除を試みる際には、問題を起こしている野生動物の行動特性を知ることが必要不可欠である。古代中国の兵法書である「孫子」には、「彼(敵)を知り己を知れば百戦して危うからず」さらに「彼を知らずして己を知れば一度は勝ち一度は負く」という言葉があるが、これは野生動物の被害管理にも言える。本シンポジウムでは、ヒトとの間に軋轢を起こしている野生動物の中でも、特にイノシシ、カラス、アブラムシを取り上げ、彼ら(あるいは彼らの天敵)は何を感じ、何を学び取り、どのように振舞うのかを突き止め、それを被害対策に活用しようという試みを紹介する。


演題
「イノシシの学習能力に関する研究から被害対策への展開」 
  堂山 宗一郎(麻布大学-現島根県)
「鳥害防除を見据えたカラスの視覚研究」 
  塚原 直樹(宇都宮大学)
「寄生蜂 Aphelinus varipes によるアブラムシの行動制御とその利用」 
  八島 圭佑(東京農工大学‐宇都宮大学)


続いて、研究発表件数です。
 ポスターは、日本動物心理学会98件、日本動物行動学会86件、応用動物行動学会21件、そして日本家畜管理学会4件の計209件。口頭発表は、日本動物心理学会22件、日本動物行動学会31件、応用動物行動学会13件の計66件(映像発表を含む)です。
 合計275件! それに加えてシンポ4件、WS9件!! これは事件です。日本の動物行動研究に大きなブレークスルーが起きることは間違いないでしょう。というか、これでムーブメントが起きなければ、日本の動物行動研究はおしまいです(^^;)。そして、その担い手は学会員であるみなさんなのです。ぜひこの機会をチャンスととらえて応動行をさらに盛り上げていきましょう。
(その点で残念なのは、応動行がらみのWSがない、ことかな。)


 あ、最後に、招待講演はAlexというヨウムの研究で有名なIrene M. Pepperbergさんによる”Numerical competence in Grey Parrots: Similarities to, and differences from, that of young children”です。9日の夜に予定されています。


みなさん9月はいざ三田へ。




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◇日本家畜管理学会・応用動物行動学会共催
 2011年度秋季シンポジウムのお知らせ

 松浦晶央(北里大学獣医学部)



日時:2011年8月25日(木)14:00-17:00
場所:北里大学獣医学部1号館3F 第Ⅲ会場(104教室)


第1部 若手による研究発表会:14:00-16:15
 堂山宗一郎(島根県・麻布大学):
  「迷路実験におけるイノシシの学習
    および空間認知能力に関する行動学的研究」
 小木野瑞奈(北里大学):
  「外部環境刺激に対する牛の生体リズムに関する研究
    ~生理学的および行動学的指標について~」
 亀井利活(岐阜大学):
 「野生ニホンジカの牧草地利用の解明と
    それに基づいた誘引捕獲技術の検討」


(休憩:16:15-16:30)


第2部 学会報告:16:30-17:00
 応用動物行動学会での東日本大震災に対応した活動
 出口善隆(岩手大学):
     「募金関連報告」
 佐藤衆介(東北大学):
     「福島原発20km圏内に取り残されたウシの保護プロジェクト」

本シンポジウムは、第114回日本畜産学会に合わせて行われます。会場へのアクセスなどは第114回日本畜産学会のHPを参考にして下さい。


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◇福島原発20km圏内に取り残された
          ウシの保護プロジェクト

 佐藤衆介 (東北大学大学院農学研究科)




 3月11日の東日本大震災後、津波被害を受けた名取市に在住していた姉の家を訪ねたとき、その近隣に広がる瓦礫の山、被災車両の山、破壊されつくした家々を見、全く声を失いました。私を含め、多くの人々が何かをしたい衝動に駆られたことと思います。


 私は初めに、東北大学大学院農学研究科が始めた「食・農・村の復興支援プロジェクト」において、「農畜林水産業を有機的に連携させた生産システムによる復興モデル」を提案いたしました。しかし、国、県、市町村の復興構想会議のメンバーでもない私が、こんな提案をしても何の迫力も無く、言ったきりの状況で、歯がゆく思っておりました。


 そんな中、私がかつて修士論文研究を指導した(財)神奈川県動物愛護協会副会長の後藤章浩君から、警戒区域内に取り残された家畜の惨状を聞き、支援の要請を受け、本プロジェクトに関わることとなったというわけです。

 5月25日に、当初より中心的に動いていた衆議院議員高邑勉氏、東京大学の吉川泰弘先生、および林良博先生らとともに官邸を訪ね、総理大臣に対し、被爆家畜の貴重性と動物愛護・福祉の観点から、家畜の「生体保存」と研究センター設立を応用動物行動学会として要請しました。内容は、皆様に流した通りです。7月8日の衆議院本会議で、高邑勉議員の質問に対し、菅総理は「生体保存は意義深く、学者の意見を貴重な提案として受け止める」と答弁いたしました。農林水産省が公示した残された家畜の安楽殺処分の決定に、柔軟に対処できる状況になったというわけです。



 すなわち、一時保管施設建設に着手できる段階に来ております。しかし、最終目標は恒久収容施設建設です。それは、野草地(シバ、ススキ)及び樹林地(一定面積を毎年皆伐し、植林を毎年繰り返し、ウシの餌確保と同時に、針葉樹と広葉樹の混交林、すなわち里山を復活させる。)からなる放牧地と捕獲施設です。恒久収容施設の目的は、①ウシの健康管理と位置情報を常時把握しながら、野生化状態で、持続的に飼育するシステムの開発、並びに②放射線の低線量被曝がウシの遺伝子、組織、及び行動へ及ぼす影響の調査研究、であります。最終的には、野生化牛を含む里山生態研究・展示及び低線量被曝研究を共同で出来る施設に発展できたらと考えております。ここに、皆様のご協力を切にお願い申し上げます。

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◇《報告》応用動物行動学会ホームページリニューアル

 通信・コンテンツ担当幹事・伊藤秀一(東海大学農学部応用動物科学科)


 東海大学農学部応用動物科学科(阿蘇キャンパス)の伊藤です。2011年4月より通信・コンテンツ担当幹事として、ホームページ(HP)およびメーリングリスト(ML)の管理を行っています。


 応用動物行動学会では前身の「家畜の行動に関する小集会」から、通信担当幹事が所属している組織のサーバをHPやMLに使用してきました(2011年春までは前任者である竹田先生所属の信州大学のサーバを借りていました)。しかし、この方式ですと、担当者が変わるたびにHPやMLのアドレスが変わってしまうだけでなく、組織の運営ポリシーの違いにより、サービスの内容が変更となる事があります。


 そのため2011年度からは、応用動物行動学会で独自ドメインを取得し、有料のレンタルサーバを利用することとなりました。もちろん、本学会は非営利団体なので無料のサービスも利用可能ではありましたが、使いやすさなどの点から、今回は有料のサーバを利用することを承認して頂きました。少しでも安く利用するため、家畜管理学会と共同利用という方式をとっています。


 取得したドメイン名はjsaab.orgです。HPのアドレスはhttp;//www.jsaab.org/となります。ブラウザにブックマークされている方は、お手数ですが新HPのアドレスの再登録をお願いいたします。現在、HPに関しては移行が終了していますが、MLについてはテスト運用をしている状況で、夏頃には新たなアドレスでスタートする予定です。


 ホームページは私の人生基本方針である「形が大事、形から入る、まずは見た目から(←過去、これで数々の失敗をしているのですが・・・)」に従い、デザインの変更から始めました。そのため、コンテンツは今までのものとほとんど変わっておりません(ニュースレターはHPで配信する事になりましたので、NLページが若干変更されている程度です)。今後は、会員のみが閲覧できるメンバーエリアや、応用動物科学の最新情報を発信できるページなどコンテンツを拡大していきたいと考えております。その際は、会員の皆様からのアイディアや原稿を頂けますと幸いです。



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◇《書籍紹介》「まきばなかま」

 伊藤秀一(東海大学農学部応用動物科学科)

 ニュースレター担当の深澤さんより「行動学に関する本などを紹介するコーナーを作りたい」と相談を受け「それは良いですね」とは言いましたが、1回目にご指名されるとは予想していませんでした。さらに書評は他薦であると思っていましたが、自分の本を売り込めとの事なので、恥ずかしながら紹介させて頂きたいと思います(どなたも推薦してくれなそうなので、自分で書くことになっただけ?)。




今回紹介させて頂く本は2010年11月に出版いたしました「まきばなかま」という写真集です。この「???」なタイトルでもわかるとおり、ほぼ学問とは無関係なので、若干恐縮しております。一応「家畜の素晴らしさを子供や世間の皆様に知って頂きたく・・・」という建前ですが、実際は各地で撮りためた家畜写真を見せびらかしたいとの思いで作ったものです。とはいえ、イヌ・ネコや野生動物に比べて、「産業動物」の写真集がほとんど無いことから、ウシだって、ブタだって、ヒツジだって、ニワトリだって美しいんだ!という主張をしたかったのも事実です。


 写真は、阿蘇の動物を中心として、イギリスにあるコッツウォルドファームパークの希少家畜や、日本の観光牧場の動物を、ブタ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ニワトリ、その他の家畜に分類して収録しました。ほぼ全ての写真は、撮影用に場所を移動する事などはせずに、通常の管理時に撮影しています(一部の写真は、リニューアルした応用動物行動学会のホームページにも利用しています)。ちょっとだけアカデミックな空気として、各動物の特徴と、アニマルウェルフェアについての簡単に解説してあります(教科書以外ではアニマルウェルフェアが解説された最初の本?)。特にお子様がいらっしゃるご家庭から好評をいただいております。


 「家畜ってカワイイ」とビジュアルで攻めていくことで、未来の家畜行動学者を育てることができたら、10年後の応用動物行動学会がバラ色の世界になっているのでは・・・と密かに夢見ています。


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◇編集後記

 深澤 充(東北農業研究センター)




 新しい配信方式になって、ニュースレターの内容もさらに充実させていきたいと思います。皆様からの新しいアイディアをお待ちしております。次回はAnimal2011と北里大でのシンポジウムの内容をお届けします。
梅雨も明けて一段と暑さがましてきました。会員の皆様も御自愛下さい。

↑実は冷房をガンガン効かせて涼しい研究室だけど暑いふりをしているの図
 ※ウソです。皆さん相当がんばっておられるようですね。
  某I大学のK先生曰く「研究室で熱射病になりそうです・・・」(注:東海大伊藤)

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